「イサム • ノグチ Tools」
20世紀を代表する彫刻家イサム • ノグチ。そして、私の人生に(というとかなり大仰な感じだけど)とても影響を受けた作家でもあります。
今回の展覧会は「竹中大工道具館」にてノグチが実際に使用した道具類を中心とした展示でした。
和紙と竹で作る照明器具の〈あかり〉シリーズがいくつか展示されていましたが、彫刻作品がなかったのが残念。
道具にフォーカスしたものなので仕方ないのだけど。
ノグチ作品に初めて出会ったのはNYの「イサム • ノグチ庭園美術館」それ以来、何度ここを訪れたことだろう。その度にワクワクドキドキ(好きな作家さんの作品を前にすると自然と心拍数が上がるのです笑)
ノグチは木、石、金属、粘土、紙等々さまざまな素材を用いて作品を制作しています。中でも心惹かれたのは、粘土で作られたものではなく、石の作品です。硬い石がノグチの手によって形やその表面、いろんな表情に変化していく。どの作品もいつまでも眺めていたいと思わされるものばかり。
この立体造形に魅了されて、素材は違えど陶芸家を目指したのです。
今は日常の器類を作ることがほとんどですが、始めた頃はひと抱えもあるようなオブジェばかり制作していました。
ノグチは香川県の牟礼町にもアトリエを構えて多くの作品を残しています。晩年の作品には玄武岩を用いたものが多く、石材の産地であり、硬い石の加工ができる職人技を求めての事とのことですが、そこで関わった人たちとの厚い信頼関係も少なからず影響しているのではないかと思います。
久しぶりにノグチ作品が観たくなりました。NYはすぐには叶わないけれど、牟礼町の庭園美術館を訪れたいですね。
あの頃とまた違った感情、感覚を味わえるかもしれません。